釣り船の船長のキャラクターついて考える

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船長を理解することで釣りの一日がより楽しくなる

この記事をご覧になられている方は、海釣り、船釣りが好き、興味がある方が多いかと思います。既に船釣りを楽しまれている方も、これからやってみたい方も船長という存在を深く理解し、意識することで自分に合った船宿、スタイルを見つけることができ、楽しい時間を過ごすことができます。今回はその船長の存在と在り方について見ていきましょう。

この記事を書くにあたって、まず私は漁業関係者ではないので組合などの詳しいルールや船宿業界の暗黙のルールなどはわかりません。あくまでも乗客目線で日頃思っていることをお伝えしていきます。

船長の言うことは絶対です。

少し語弊があるかもしれませんが、あえて極端に言うと、船長の最も重要な仕事は、たくさん釣らせることでもなく、釣りの手伝いをすることでもなく、乗客の安全を守ること に尽きます。

乗客目線で言うと、楽しみにしていてウキウキして、遊園地の延長感覚でいる場合もあるかもしれませんが、船長は誰よりも海の危険を知っており、様々な角度から危険を予測しています。それはただ遊びにきた乗客には想像もできないレベルの場合もありますが、全てを細かく理由を説明するような時間はありません。

そのため、多少言い方がきつくなってしまう時もありますが、それは安全を第一に考えているからこそであります。なんで船長に怒られたのかわからないという場合もあるかもしれませんが、必ず理由があってのことと思うようにしましょう。理由がわからなければ下船後に船長に謝罪した上で理由を尋ねるのがいいと思います。

逆に理由を言えない船長の場合は、ただ乗客に気分で当たっているだけの可能性もありますので良い船長とはいえないでしょう。乗客の安全を考えていない船長がいるとすればそれは論外ですが、知床沖事故のようなこともありますので船長がどんな人であるかを見極めるのは乗客にとっても何よりも重要です。

とはいえ、どんな船長であったとしても、乗船している間は船長の言うことは絶対で、乗客は陸にいるような自由は制限されているという気持ちで臨むのが良いと思います。

理由もなく不機嫌で当たり散らしているような船長も時折見かけますが、そのような船にあたってしまった場合は仕方ないとあきらめて二度と乗らなければ良いでしょう。このウェブサイトのリアルな船宿ガイドはそういうアンラッキーな状況を船宿選びの段階から防ぐために客観的な見方から船宿を評価しています。

アドバイスではなく、指示です。

乗客の安全を守ることが第一の任務である船長ですが、遊漁船としては、乗客に楽しんでもらうためにより多くの魚を釣らせるというミッションも抱えています。

船長はマイクを使った船内アナウンスも含めて、釣り方や仕掛けなどについて指示を出します。言い方が優しい船長であっても、これはアドバイスではなく船長からの指示です。

これは、乗客が好き勝手な仕掛けや方法で釣りをしてしまうと、おまつりが多発したり、魚がいなくなったりしてしまい、結果としてその船の乗客誰もが釣れなくなる、おまつりをほどくことで時間をロスするということになってしまいます。

これを防ぐために、特定のターゲットで特定の釣法が船ごとにあり、皆がそれを守ってやるということが、乗合船の最低限のルールになります。乗合船は皆で船をシェアしているのでルールが必要です。そのルールを指示しているのが船長であり、スポーツでいう審判のような役割でもあります。

ある程度好き放題でやりたい方は乗合船ではなく、仕立て船にしましょう。

ここまでは乗合船で船長という存在をリスペクトし、乗客はどうあるべきかについてお伝えしましたが、ここからは船長の方向性ついて考えていきたいと思います。

船長は人間ですから、100船長居れば100通りのキャラクターがあります。乗客も人間ですから当然自分との相性というものも出てくることかと思います。楽しい時間を過ごせるためには、自分好みの船長の船に乗せてもらうというのも重要な要素です。

何を重視しているかで個性が分かれる

いろいろなタイプの船長がいますが、それは元々の性格、経験によるところも大きいのですが、その船長が安全面の次に何を最も重視しているかによって方向性が分かれてきます。

船宿の経営は天候にも左右されるため、バランスが難しく、いかに釣り人にアピールするかのわかりやすい指標として釣果があります。オーナー船長でも雇われ船長であっても、ビジネスという一定のプレッシャーの元で釣果(数)を出すことは課された使命でもあります。数こそが正義タイプです。

常連客などが多い船宿の場合、小さいのがたくさん釣れるよりも大きいのを一発という方が好まれる場合もあります。結果としてボウズになるリスクも大きいため、船長の腕が試されることにもなりますが、ここで結果を出す船長は釣り人から神と仰がれるようになります。大きさこそが正義タイプです。

全体として良い一日になればめでたしというような、安定した結果を出すタイプで乗客から苦情がくるかもしれないような積極性は求めず、トラブルなく帰港することにフォーカスしていくスタイルです。無難こそが正義タイプです

これらの3つは極端に振れている方向性であり、実際にはそれぞれの要素が絡み合うことでその船長のスタイルが確立されています。また、船宿の事情によって一時的にどこかの方向性に寄っているようなことも考えられますのであくまで目安にとどめておく程度が良いかと思います。

大まかな方向性に加えて、船長それぞれの経験や性格などによってキャラクターの要素が加わり、それぞれの船長に個性が生まれます。細かく分類するのは難しいのですが、大まかに4つのタイプに分けてみました。

A 経験値系、ハード系

良いときも悪いときも知り尽くしている熟年タイプの船長で、多くを語らずの口数少ない昭和の香りを感じさせてくれます。言わなくたってそんなことわかってるだろというような強引な部分もありつつ、人情味あふれる側面もあり、ふとしたときにその優しさが垣間見えることもあります。

長年の経験による深い知識、状況判断力は刻々と変化していく海においては最も強力な武器で、その読みが釣果に直接繋がっていきます。釣ることを第一に考えた場合最も信頼できる反面、ちょっと怖いというようなこともあります。

B 経験値系、ソフト系

経験、知識共に十分で、社交性もありバランスのとれたタイプで、若いときはタイプCであったのが、年齢を重ねるとともに角が取れて、優しさという武器が加わったパターンです。状況判断力に長けており、船のリーダーとして最も信頼できるタイプで、このタイプの船長の場合、まずおかしなことにはならない傾向にあります。

その一方、昔ながらのスタイルとテクノロジースタイルの間に挟まれていて、目指している釣りスタイルがわかりづらい場合もあるかもしれません。

C テクノロジー系、ハード系

大胆さと積極性が最大の武器で、理論に基づくその釣りスタイルは新世代を中心に支持者も多く、現代のテクノロジーを積極的に駆使して、またYouTubeなどにも登場することでその人気を確立しています。体力、エネルギー共に全盛期にあることが多く、数を釣らせることに関してはどのタイプよりも優れているかもしれません。

若さもあり、そのハードな気質から、年齢を重ねBタイプになるまでは、乗客には厳しめなこともあるかもしれませんが頼れる兄貴的な存在です。

D テクノロジー系、ソフト系

平成以降生まれの比較的若い船長で、Aタイプの息子であることも多く、父親の姿を見続けてきた結果、それとは正反対の方向のスタイルになり、あまり感情的にはならないタイプです。デジタル系や最新の釣り具などにも精通していて、乗客にも感情移入せず淡々とこなすようなスタイルです。

自分のスタイルをおしつけることもなく、遠くから見守るタイプで、一日を通して過ごしやすい時間が多くなる反面、初心者や船長に積極性を求める方には少し物足りないこともあるかもしれません。

実際にはAとBの中間やBよりのDであったり、様々なキャラクターの船長がいますが、自分の求めるものに合う船長を見つけることは釣り人生を左右する重要な要素です。逆に、乗客目線から言うと船長のキャラクターがはっきりしている方がわかりやすく、選びやすく、リピートしやすいので、多くの船長の方々の目にもこの記事が届いてくれて、より個性豊かな船長がこれからもたくさん出てくることを願ってお伝えしました。

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